瀬戸内寂聴が参照した最澄伝
2021年 11月 11日
ちょうど『瀬戸内寂聴伝記小説集成』の第5巻を借りている最中だった。本書には、晴美の時に書いた『青鞜』のほか『伝教大師巡礼』(初出は『大法輪』 1979年3月号〜1980年12月号、その後講談社から単行本化)など計5作品が載る。師匠の今東光が半井桃水を腐しつつも、桃水が最澄伝(2種類ある。詳しくは、この記事に→)
を書いたことを不思議がっているが、寂聴も『伝教大師巡礼』の参考文献に桃水の『伝教大師』(1921年)を、一応、挙げている。直接的な影響と断言できるほどの共通点は見出しにくいが、空海を「傲岸不遜」の四文字で評する点は同じだ。学僧のなかには、論文内で言及している人もおり、御遠忌事務局から出たものだから、宗内では長らく参照価値を認められている伝記なのだろう。ひょっとして、桃水の作品のなかで最も後世への影響力がある作品か…。
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by dreamingmachine
| 2021-11-11 14:56
| 近代仏教研究